作業台の上で使う小型のウマ台(馬台)の図面、作り方、使い方などについて詳しく掘り下げる記事です。
一般的にウマ台(Saw Horse:ソーホース)というと、腰の高さくらいのスタンドタイプの台を指しますが、こちらは卓上タイプになります。
このウマがあると何ができるのかと言うと、
- 丸ノコやジグソーを作業台上で使える
- 塗装時の垂れや滲みを防げる
- ワーク(加工物)が掴みやすくなる
- どこでもクランプ固定ができるようになる
と、シンプルな割に非常に重要な道具で、特に丸ノコなどの切断作業には欠かせません。
1度作ればほぼ一生使えるので、これからペケ台などを作る方は是非参考にしてみてください。
図面と寸法
- 胴(長い部分):45×45mm×長さ600mm ×4本
- 脚(短い部分):45×45mm×長さ100mm ×8本
使用する木材は角材のみ。
長さはあくまで参考なので、自分が使いやすい長さでOKです
小物だけでなく家具くらいの大きさの物を作るのであれば、角材の太さは40~50mm程度、長さは400~600mm程度あると使いやすいです。
使用本数
自分は大きい板や長い板から材料取りをすることが多いので、ウマ台を4本用意して状況に応じて使い分けています。
切断する部材が小さい場合はウマ2本でも良いのですが、上のように板を大きく切り分ける場合、ウマ2本では切り離す側の自重によって丸ノコ側に材が落ち込んでしまい、刃が挟まれてキックバックを起こす原因になります。
切断後の板をそれぞれ2:2で支える形にして切るか、2:1で切り離す側の切断箇所に近い場所(右から2番目の位置)に1本置き、テコのように外側に落としてやると安全に切断作業ができます。
脚の長さ
脚に使う角材は、あまり短くするとウマがコケやすくなり、逆に長過ぎると片付ける際に場所を取るようになってしまいます。
『天面の中心』と『底の両端』を結んだラインが正三角形よりやや横長になるくらいの長さにすると、使う際には安定し、片付ける際にはコンパクトにまとめられるようになります。
このウマ台は作って10年ちょっとになりますが、このバランスで
- 大型の彫金机(+引き出し棚20段)
- 作業台×3台
- 鋳造機の台
- ボッスク棚×5台
- 他、多数の台、バリアフリー化の床上げ、壁面棚、集塵マシンなど
を作っていてコケた事はないので、参考にしてみてください。
脚は端材でも良さそうに見えますが、100×8本=800mmと、実は胴体1本分より長い分量が必要です。サイズもバラバラだと段差になってしまい、キックバックが発生する原因になってしまうので、高さも必ず揃える必要があります。
パッと見の印象より実際は多くの材料を使う点は、留意しておくと良いかも知れません
使い方と利点
切断の刃を逃がす
このウマ台で一番使う用途です。
木材を浮かせることで丸ノコやジグソーの刃を逃がす空間ができるので、台上のどこでも天板を傷付けずに切断作業ができるようになります。
数cmちょこっと切るくらいなら台の端っこでも良いのですが、サブロク材や長物のように落とし側が大きくなってくると、切った材がノコ刃を挟み込むように落ちてきてキックバックを起こす原因になります。
ウマ台を移動させれば作業台のどこでも切断作業ができるようになるので、大きな材や小さな材、不定形の材にも対応することができます。
キックバック防止
天板と同じサブロクサイズ(910×1820)の板を、幾つかの部材に切り分けたところです。
丸のこを使う際に、落とし側(右側)も支えることで刃の挟まれを防げるので、キックバック防止にもなります。
ウマを覆い隠すほど大きい材でも、600mmあればガタ付くことなく安定して切断可能です。
塗装しやすくなり、染みも防げる
卓上ウマ台には脚がある分、角材をそのまま敷くよりワークを高く浮かせられます。
天板との距離を離せるのでワークの側面も塗りやすくなり、塗料が垂れて底面に染み込むのも防ぐ事ができます。
ワークが持ちやすくなる
上の画像はタモ集成材(厚30×600×900)で、比重も大きめなのでなかなかの重さがあります。
そのままベタ置きすると掴んで取りにくいのですが、ウマ台で浮かせる事でパッと持ち上げやすくなります。
材を移動させたり掴んで方向を変えたりするのは頻繁に行うので、扱いが楽になって腕の負担軽減にもなります。
どこでもクランプ
ウマにもクランプが掛けられるので、作業台のどこでもクランプで固定できるようになります。
ウマと材料だけでは流石に軽すぎて動いてしまうので、1カ所は天板ごと挟んで固定しています(画像の右側)
丸ノコ作業ではほぼ使わない方法ですが、自分はトリマー加工や変則的な材を固定する際に割と使う事があります。
画像は、A板だけでは幅が狭くてトリマーを乗せられない為、同じ厚のB板を合わせてハタガネ(金色)で裏から固定。その上にガイド定規を乗せてウマ台ごとクランプ固定して溝を切ったものです。
2枚の板を合わせても安定してトリマーが掛けられます。
ストレートガイドではハタガネに当たってしまうので、この時は手作りしたガイド定規を使ってウマに固定しました。
半分切ってクランプし直して続きからまた半分切って…とやらずに1発で溝切りできるので、80枚分の棚枠も綺麗に加工できました。
10年以上使ってみて
簡素で作り方もシンプル、見栄えがする訳ではありませんが、「モノ作りのための道具」を作る為の道具として、ペケ台と並んでかなり重宝している道具です。
ウマ台の他にも天板上にスタイロフォームや捨て板を敷く方法がありますが、
- 使い捨てになってしまう
- 切断時にポリスチレンなどの樹脂ゴミが散る
- 塗装やジグソーでは枕木が必要になる
ので私はウマ台を採用しています。
- 面全体で材を支えるため、ガタつきが生じにくい
- 摩擦力があるので押さえて保持しやすい
ここら辺は、自分の好みや作業性などに合わせて選ぶと良いと思います